加藤光峰

ご挨拶


加藤美環

今は亡き父、加藤光峰は書家として、書芸術の未踏の光る峰を目指し、模索し、弱冠22歳にして、中国古代文字(夏、殷、周の甲骨文字&金文)を作品のモチーフとする発想を得て生涯、書道界では無所属という信念のものに、繊細な線の甲骨文と骨太な線の金文という両極端を駆使し、墨線と余白の織り成す独自の作品世界をライフワークとしてまいりました。
晩年には『人間というのは、生、死を問わず、気の充実が大切なんだ。気が充実してないと、死と同じなんだ。芸術家として、気があると自覚しているうちは仕事をしたい、やるんだ。気がなくなる直前まで、その瞬間まで、私は筆を持ちたい』と熱望した通り、生命の炎が燃え尽きる直前まで、制作活動に情熱を燃やし、沢山の作品を残し、旅立ちました。
また光峰は『瞬間瞬間を生きていく。(旅立つ)瞬間が来たら、残された作品に総てをまかせたい。』と生前語っておりました。どの作品にも、それぞれの年代の光峰の線質とスピリットが、墨線鮮やかに語りかけてきます。残された作品が光峰にかわり、時空を超えて『永遠の命』を宿すことを信じて…

長女・加藤美環